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セブン・サイコパス◆ Seven Psychopaths [いんぷれっしょん]

セブンサイコパス.jpg 映画が面白いと思えるか否かは、ほぼストーリーで決まるね!と思っていらっしゃる方は多いと思う。勿論それは正しいが、プロットがふにゃふにゃなのに、シナリオや編集が巧みだから、映画としての完成型が素晴しく面白くなっているというパターンも多い。この、イカれた面々が沢山登場するイギリス映画も、正にそんなポジション。かなりキツメな暴力&殺人描写が満載、文科省の推薦は100年経っても貰えそうにないオフビート大人コメディ。

 大まかなストーリー、スランプで筆が全く進まないハリウッドのシナリオライター、マーティ(コリン・ファレル)。その手助けをしようと、売れない俳優の友人ビリー(サム・ロックウェル)は執筆中の作品タイトル「セブンサイコパス」のモチーフにするため、本物を募集したところすぐに応募者ザカリア(トム・ウェイツ)が現れる。彼の犯罪歴を披露され、その驚くべき内容に打ちのめされ、めでたく脚本の糸口を見つけることができた。一方ビリーと初老の友人ハンス(クリストファー・ウォーケン)は、愛犬誘拐ビジネスで稼いでいるうちに、裏社会ボスの逆鱗に触れヤバイことになる。こうして図らずも、マーティーの廻りにはサイコな連中が集まってきて、シナリオのネタにはことかかなくなるのだが、彼ら自身も抜き差しならない状況に・・・。

 サイコパス天国アメリカ。Wikiによれば、北米に少なくとも200万人、ニューヨークには10万人が存在するとか。新聞広告で「サイコパス募集!」と やったら、すぐに応募者が現れるという設定には、そういった状況が普通にありがちという認識なんだろうか?少なくとも、世界有数の大都会トーキョはそこまで病んでいないだろうと救われた気持ちになる・・という副次要素を確認したりして。

 前半は登場人物のキャラクターご紹介という感じで、顔見せ的な短めエピソード連発。それがすべて血しぶき飛び散るか、誰かが死んで終るというあたりが、徹底したサイコぶり。間抜け顔のチンピラ小悪党コンビが、いきなりその生涯を閉じるオープニングシークエンスは、この映画の素性と行く先を如実に表し、不安と期待が交錯する見事な掴み。募集広告に応募してきたザカリアと妻の殺人遍歴は、間違ってもテレビドラマでは見せられないきっちりR15。実在の犯罪者ゾディアックを探し出し、テーブルに磔けしてガソリンぶっかけ焼き殺すなどはさらっと描かれているけど、B級ホラーならメーンイベントに持ってきても良さそうなくらいだ。

  基本は、現実に起きている事と、マーティーの頭の中にわき起こるシナリオの構想、そして誰かがマーティーに披露した話しを同時並行的に映像化されので、そのリズムに馴染むまではしばらく頭にハテナを点滅させることになるのだが、やがてそのテンポに同期し、快感さえ感じている自分に気づく。それぞれの世界が全部暴力まみれというのにも、きっちり筋が通っていて、大変に好ましい。見終えた後には、あたかもスポーツ後のような心地よい疲労感さえ漂う見事なシナリオでありました。

  ポスターの中央に仁王立ちし、オレ主役だもんね~という佇まいのコリン・ファレルだが、物語中の役どころは、廻りにうじゃうじゃいるサイコパスに振り回され、ひたすら困っている一般人というキャラで、トレードマークの黒々ぶっとい眉がやたらと「八」の字型になるケースが多いのが非常にハマっている。 主役ながら存在感抑えめのマーティーとは対照的に、尖りキャラなのが、友人ビリーと敵役のチャーリー(ウディ・ハレルソン)だ。中盤から後半へ切れなく続く絡みは、東西正横綱相まみえる千秋楽結びの一番、がっぷり四つで両者譲らずという感じで、どちらに軍配を上げたくなるか迷う。そして、この二人にも増して存在感抜群なのが、ビリーのビジネスパートナー、ハンス(クリストファー・ウォーケン)だ。この人、最近の出演作はどれを見ても、重厚感抜群の役どころばかりなのだが、今作の重さも半端じゃない。つーか、フツーじゃない。マーティーの脚本「セブンサイコパス」のネタとして披露される、クエーカー教徒の話しや、病気療養中の彼の妻、そして終盤に語られるベトナム人の挿話など、ハンスに絡むエピソードには「なんじゃそりゃ~!」の連続でありました。

 そして、脚本としてこの上なく秀逸だったのが、女優の使い方ですな。アビー・コーニッシュ、オルガ・キュリレンコ、ちょっと変化球のガボレイ・シディベなんかの一流どころを、ほとんどセリフ無し添え物的ちょい役で贅沢消費していらっしゃる。随分粋なことして下さるじゃありませんか。

 ことごとく予想を覆されながら迎えるエンディング。そのすべてが終わった後、ザカリアがマーティに電話してくる。「おまえ何だか変わったな」とのセリフにかぶるマーティーの茫然自失顔には、激しく共感すること請け合いだ。お疲れ様とお互いにねぎらい合おう。

2013/11/17 横浜ブルグ13にて



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