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L.A. ギャングストーリー ◆ Gangster Squad [いんぷれっしょん]

LAギャング.jpg

 アメリカ映画における伝統的且つ定番テーマといえば、言うまでもなく西部劇。次いでくるのが、ギャングものではないだろうか。こっちの本流は、禁酒法時代のシカゴを牛耳ったカポネと連邦捜査官の戦い、あの「アンタッチャブル」なんかが王道と思うが、今作は第二次大戦後、アメリカが政治と経済において隆盛を極めだした時代のお話だ。実話からインスパイアされたと冒頭にクレジットされていたとおり、ギャングは実在の男。時代は名作の誉れ高い「L.A.コンフィデンシャル」の前段あたりに位置する。

  なかなかの豪華キャストを揃え、自らを神と称した大物ギャングVSはみ出しデカ軍団のハードアクションストーリーというイメージには、結構期待を寄せていたのだが、少しがっかり。自分が楽しめなかった作品のことを書くことはあまりなく、黙っていることが多いのだが、どの辺が期待はずれだったのか、今回は自らの掟を破り具体的にこき下ろして進ぜよう。

 まず、戦いの構図についてのアイデアがどこかで見たことあるぞーという感じ。 我が日本には、ガンアクションの傑作、法で裁けぬ悪人を問答無用で退治するという、元死刑囚のみで構成される野生の軍団「ワイルド7」がいる。もっと時代を遡れば、女房と姑に頭の上がらない小役人「中村主水」率いる影の暗殺集団もいるじゃないか。実話ベースの話とフィクションを一緒にするなと言われるかもしれないが、私の中では同一線上なのだから仕方ない。(必殺との比較は言い過ぎたスマヌ)

  アイデアに既視感があるのなら、別のところで盛り上げてもらいたいと思うのは、金を払った者として当然の欲求。しかし、全体の構成が平坦で、見せ場というか花となる部分の重みもイマイチ。こういったエンタメ系のアクション作品は、後半~終盤の追い込みを上手に見せると、グッと盛り上がり、終わりよければ何とやらという印象を残せるのだが、冒頭にショーンペン演ずるミッキー・コーエンの残虐ぶりを見せつけ、おっ!という期待を持たせ、続いて、産声を上げたばかりのはみ出しデカ軍団のオマヌケで笑いを誘うなど、上々の滑り出しなのに後が続かないのはどういう訳だ。 作り手の力不足なのか、客が甘く見られているのか。もちろん、全体の構成はきっちり常道を踏んでいるのだが、どこか手薄感がぬぐいきれない。最終版の撃ち合いと、宿敵同士のタイマンなんかは、おー予想通りにそうきたですね~としか思えなかった。

 例えば、もっとハラハラ度を高めたいと思えば、ライアン・ゴズリング演ずるジェリーと恋仲になり、ミッキーを裏切ったエマ・ストーン演ずるグレースの身に、もっとじわじわくる恐怖を与えるとか、盗聴のコンウェイが襲われる場面なんか、あんなにあっさり殺られないで、もっと無念さを滲ませてみたりすれば、ギャングに対する客のこんちくしょう感も高まり、その後の戦いにのめり込めるのに、何でそんなに省略しちゃうのさ~と申し上げたい。

  そして、最も致命的なのは、オマラとジェリー以外のメンバーの描き方が薄すぎるところだ。そもそも命を落とす可能性が非常に高いミッションを課せられた軍団へのリクルートが、みんな数分で終えてしまうというのは無いでしょ~。 その辺を象徴するのが、かなり感動的シーンなはずのガンマン、ロバート・パトリック(T1000型さんですね)と愛弟子が絡む最期。それまでの感情移入が薄いせいか、さらりと滑ってしまってあまりにかわいそう。 オマラのモノローグによるプロローグ的な締めくくりも、ふーんという程度の感慨しか沸かないのは、やはり本編でグッとハートを掴まれていないからだろうなぁ~。かっこいいはずなのにもったいない。

 まあ、そうはいってもゴズリングのクールさはめちゃくちゃかっこいいし、あのヒット作で女子高生のヒロイン役を射止めたばかりのエマ・ストーンが、幼さと色気を共存させるいい女になっていて素敵だった。オマラ夫婦の関係もストーリーに巾を持たせていてエンタメ的には成功している。そして、ショーン・ペンの悪役ぶりはさすがと言うしかない。 このように、随所にきらっと光る所もあったと思うと、全体から受ける、まるで安手TVドラマシリーズのような印象が、返す返すも残念だ。アメリカ人の中流家庭がリビングで観るにちょうど良い出来映え・・という言葉を結論として差し上げましょう。次回作に期待。



2013年5月9日 MOVIX橋本にて

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